1

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「ふああ…」 十一月、肌寒さを感じる様になった朝。 私は欠伸をかみ殺していた。 「寝不足?」 姉から、そう聞かれた。 私は答える。 「うん…、まあそんな感じ」 「…本読んでたんでしょ?」 「う」 ばれていた。 「夜更かしも、ほどほどにしなさいよ」 「はぁい」 そう言って私をたしなめる姉の表情は、なんだかんだ言って優しい。 妹ながらきれいだなあ、と思う。 あまり変わらない顔のはずなのに、不公平だよ。 「そうだ、ねえ、あれどうだった?」 「うん、これだよね」 「わあ!ありがとうー」 頼まれていた品物を渡す。 帰り道のコンビニで買い物をすると景品がもらえて、今は姉がファンのアーティストの期間なのだ。 無邪気に喜ぶ姉の姿は、とても楽しそうだ。 そんなのを見ると、ああ、やっぱり私のお姉ちゃんだなあ、と思うのだ。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!