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1996 アユムとアサミ
都会の絶望の果てで出会った、孤独なホステス・砂田まりあ(鈴木保奈美)と孤独な天才ピアニスト・高村士郎(三上博史)の究極の愛を描いた悲劇。オープニングとエンディングは士郎がまりあに語りかける形でナレーションが入る。メインキャスト全員が孤独であり、悲しい過去、心の傷をかかえており、この枠としては珍しい重厚な人間ドラマが描かれている。
尾崎豊のオーマイリトルガールは『この世の果て』の主題歌だった。
アサミはカヨのことなんかどうでもよかった。
アユムとずっと一緒にいたい。
「カヨちゃんの法事いかなくていいの?」
「アユム、法事ってお金かかるよね?」
最近、処女を捨てた。
「でも?大切な友達だったんだろ?」
アユムの家のコタツの中でヌクヌクとしていた。
遊びに行くときにママから『早く帰って来るのよ?』って言われた。
ポケベルなんか持ったらもっとうるさくなる。
気持ちいいことたくさんしたいんだ。
「うん」
「ポケベルくらい買ってもらえよ?ピュアしたい」
「アユムはドラマの見過ぎ」
和久井映見主演のLove Storyだ。
サヴァン症候群の少女を演じてる。
アサミはあんまり見てないから内容はよく分からない。
「もしアレだったら買ってあげようか?」
「ホントに?でも悪いなぁ」
最近じゃガッコーの友達もミンナ持ち始めてる。
《イマドキ、アサミだけだよ?》
《まっ、君じゃ無理だよね?親がアレだから?》
《ハハハハ………》
受話器の向こうからイロイロ言われた。
アサミの父親はリストラに遭った。
バブルのせいだ。
母親は夜の仕事に出るようになった。
「やっぱ、必要ないや」
ポケベルなんて持ったら今以上にミンナからやられる。
「遠慮すんなって?俺をお兄ちゃんだと思えばいいんだ。金なら心配いらない」
「親がしつこくなるかも?そしたらデートも出来なくなる」
「それもそうだな?」
目覚し時計を見たら7時を過ぎていた。
「マズい、ママに叱られる」
「次、いつ会える?」
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