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一気に話し終え、真弥は息を吐いた。顔が紅潮し、目は充血している。悲劇を思い出し、興奮しているようだった。
「この二ヶ月、ずっとあなたを探していた。司の村へ、来て欲しいの。私達を、助けてほしい」
真弥の瞳は切実だった。それもそうだろう。話を聞いた限り、沙貴という人物の冷酷さは常識を超えている。
恐怖するのも当たり前だ。
翔は、シンならすぐに頷くだろうと思っていた。だが、シンは答えない。
「おい、シン。司へ行くだろ?何を黙ってんだよ」
翔は苛立ち、シンの肩を叩く。それでも、睨み返してくるだけで、何も喋らない。
「私達が、司族だから?だから、助けてくれないの?」
はっとする。
真弥の話の中にも出てきた、カイ族の掟。
カイを抜けた者は抹殺されるという、掟。
患者の記憶は消すという、掟。
カイ族は、掟を何より重視する。翔はシンと真弥の話を通してそう感じていた。
だとすれば、シンは今、真弥を殺さねばならないのか。
だから、助けないのか?
しかしそれは翔の中のシンと違って思えた。カイ族はもっと優しいのだと、彼は思っていた。
「今私を殺せば、司の村の場所はわからないわ。司の村に着いて、誰かを殺せば、誰も沙貴に関する情報を渡さないわ。だから、あなたは司を殺せない」
「少なくとも司の村へ行けば、沙貴は現れるはず。あなた達がいなくとも」
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