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エンジンの爆音。
ブレーキを無理にかけた、タイヤとコンクリートの甲高い摩擦音、悲鳴。
そしてまた、爆音。
異常を察し、翔と両親は家の外へと駆けた。スリッパのまま、ドアを開き、庭を駆け抜け、門扉を押し、そして、翔は愕然とした。
視界に飛び込んできたのは、血まみれで道路に横たわる小林と、その傍で泣きじゃくる夕貴。仄かな月明かりでも、もう助からないであろうと見て取れる出血量。
遠くで、救急車を呼べと叫ぶ声が聞こえる。翔は身体を動かすことができない。母親が電話をするために家の中へと舞い戻る。父親は、止血を試みている。
夕貴は、小林を一心に見つめ、ただ茫然と、涙を流していた。
数分後に救急車が来て、全速力で病院へ運びこまれ、懸命な救命措置が取られたが、小林は、二度と帰らぬ人となった。彼の、夕貴を見る優しい瞳は、もう二度と見ることができなくなった。
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