第四章

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 司族はカイ族を抜けた人間が祖である。 彼らがカイ族を抜けたのは、孤独を嘆き恨んだためであるとか、内部紛争の結果であると言われているが、正確な理由は誰も知らない。  カイは、一族を抜けた者の抹殺を掟に掲げている。その掟を恐れ、司族はカイを離れてから考案した特殊な結界を張り、カイの目から逃れ続けてきた。 数百年か、数千年か。 司族はそうして、山奥に息を潜め、ひっそりと生き続けてきた。カイ族にもなれず、人間にもなれずに。  真弥は司族頭領の娘として、カイの力を学び、いざという時カイ族と戦えるよう、訓練を続けてきた。現在カイ族を離れた司族の中で、カイの力を使える者は、頭領の血筋の者と長老以外は、ほとんどいない。  司族には、カイから逃れ続けるための、ある風習があった。それは、毎日カイ族の動向を確認するというものだ。 シンと接触するために使った、植物を媒介にして視野を遠隔操作する術を使い、カイの村を見張ってきた。さらに司族には、カイ族の人間が村からある一定距離内に足を踏み込むと警戒音が鳴り響くような工夫が施されていた。 全て、掟から逃れるためだ。  その警戒音が司の静寂を破ったのは、今から二ヶ月前のことだった。
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