第四章

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 悪魔が両手を振り下ろす。  巨大な火球が、司に向かって唸り声を上げる。  咄嗟に真弥は火球を受け流そうと術を発動させるが、悪魔の力が強すぎた。火球を流しきれず、飛び散る火花で方々に火がつき、村が炎に包まれる。  逃げ切れない人々が、焼けていく。  焦げくさい匂いが鼻をつく。  地獄と錯覚するほど、悲惨な光景だった。 「俺は沙貴だ。残りはまだ生かしてやる。だが、いずれ必ず滅ぼす。逃れたければ、シンを呼べ」  悪魔は、薔薇と共に消えた。
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