始まりの日

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「ぎゃははっ! うける! なにそれ!」 「いやさっきさ! でかいのがさー」 五月蝿い、人を馬鹿にして笑って。 馬鹿にされてるのは私ではないが、本人に聞かれてたらめんどくさいぞそれ。 馬鹿にされてるのは私の友達なんだが。 それを聞いてどうこうだとか私は思わない。 私だった容赦なくそいつらを法的範囲内で痛い目に合わせる。 ここにいる奴らは人の気持ちが分からないクズばかりだ。 もしも私が受験を受ける前の中三の冬に戻れるのならここの高校は受けずに別の高校を選ぶだろう。 ここは人の皮を被った醜い動物がいる動物園だ。 こんな場所さっさと取り壊して欲しいくらいだわ。 「ねぇ葵おきてる?」 そんなことを考えていたら友達から呼ばれた。 別に寝てはいないけど。 腕を机の上に組むように置きそこにできた穴に顔を入れれば寝たように見えるのよね。 「起きてるわ、どうした? 城西」 「あいつら私のこと笑ってるんだけど」 おーけいやっぱそれね。 笑っている理由は明白だけど今それを彼女に言うのは酷ってものだわ。 「気にしなくていいじゃない、彼女たちは醜い雌豚よ? 豚がブヒブヒ鳴いてるだけじゃない」 「……あんた、結構酷いこと言うのね」 「しかもちょっと厨二病臭いわ」 仕方がなかった彼女を持ち直させるにはこれくらい言わなきゃいけない気がした。 そして私はそういった類の病気じゃない……と思う。 こう考えるようになったのは……止めとこう辛い記憶を思い出してしまう。 「おーい席につけー授業が始まるぞー」 教師の一言で全ての人間が静まり返る。 私は少し疲れたので授業を聞かずに少し目をつむることにした。
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