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四つ葉探し。言葉通り、四つ葉のクローバーを探すことである。校庭の一角には部員と途中から合流した須田が居た。しげとあらた以外は慣れたようにふんふんと鼻歌を歌いながら探し、二人はどこをどう探せば良いのか分からず、戸惑いながら葉をかき分けていた。
「子どもじゃないんだから、こんな四つ葉探しなんてやって何になるんですか」あらたは文句を言いながらみずきを睨んだ。
「まあまあ、やってみたら分かる!」みずきはにかっと笑って答えた。
「ほら、文句言ってないで探すぞ」
しげに促されてあらたは再び地面に視線を移した。
「お前、こんなことやるために入部したのかよ」
「うん、そうだよ」しげは地面を見たまま静かに答えた。
その声の静けさに心がざらつくのを感じ、あらたがしげの顔に目を向けた時
「あった! 見つけたよ!」
初めに声を上げたのはゆらだった。四つ葉のクローバーを手に持ち、嬉しそうに飛び跳ねていた。
ゆらが一番か!おめでとう。やるじゃん。腕を上げたね、ゆら。と広海、みずき、須田が声をかけ、ゆらと同じように喜んでいた。
「本当にあるものなんだな」
「あぁ」
あらたとしげが感心した様子で四人の姿を見ていた。するとゆらが見つけた四つ葉のクローバーを広海に渡した。広海も満面の笑顔で受け取った。
「ゆらさんは人が良いんだな」
「人が良いだけじゃないと思うけどね。ほら、探すぞあらた」
「はいはい」
再びみんなで四つ葉探しが始まり、次は須田が見つけた。
「しげ」須田がしげに四つ葉のクローバーを渡した。
「ありがとうございます」しげはキラキラした表情で受け取り、須田もその表情を見て目を細めた。
「見つからねぇ」あらたが眉間に皺を寄せていた。
「そんな顔してるから、四つ葉も逃げるんじゃないか?」
しげがあらたに笑いかけると、さらにふてくされた顔になって地面に座り込んだ。
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