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それからゆらとしげはじっと部員の帰りを待った。ただ時間だけが過ぎていた。
「あらた大丈夫かな? 広海さんもみずきさんも」
「二人とも遅いですね。何かあったのかもしれないし、心配ですね」
二人の不安が増していく中で、一つの光が視界に入った。こちらに近づき手を振る影がいくつも見える。
「おーい! ゆらー! しげー!」みずきの声が聞こえた。ゆらとしげはホッと胸を撫で下ろした。
広海、みずき、あらた、そしてライトを持った須田が二人のもとに来た。
「須田先生!」ゆらは須田に駆け寄った。
「ゆら、しげ、待たせたね。心配してたでしょ、ごめんね」須田は安心させるように優しく笑った。
「偶然須田先生に会ったんだ。そしたらあらたも一緒に居たんだよ。すぐにみずきも来て、みんなで戻って来たんだ」
「あらた、何かあったと思ってみんな心配したんだぞ。電話にも出ないし」しげは説教するようにあらたの前に立った。
「心配かけて悪かったと思ってます」
「本人は反省しているんだし、許してあげて。それに私の見回りに付き合わせてしまったから、私も悪かったんだ。ごめんね」
「見回りしてたんですか?」
「そうだよ。生徒たちが羽目を外しすぎないか、悪いことに巻き込まれないか見て回るのも先生の仕事だからね。でも、ここからは部活の時間だ!」
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