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問い
真夏日になることは無くなったが、まだ暑さが残る9月。生徒たちの夏休み気分はすっかり抜けきり、校内はいつもの様子を取り戻していた。
放課後、ある教室で保健委員の会議が行われており、そこにゆらとあらたの姿があった。
「では、保健だよりの文章作成・印刷・配布準備を担当してくれる人いませんか?」
委員長が希望者を募った。だが、どの生徒も忙しいからなどと理由をつけて立候補する者は居なかった。
「委員長、山崎さんがいいと思います」二年の男子が手を上げた。
「山崎さん? 前回も担当したよね」
「この前の内容がまとまってて良かったから、向いていると思います」
「山崎さんはどうする?」
「私。私は」
ゆらは周りの生徒の顔を恐る恐る見た。どの生徒も我知らぬ顔で自分以外の誰かになることを願っていて、見えない圧力をゆらは感じていた。
「できそう?」
「はい、やります」ゆらはにこっと笑った。
「わかった。じゃあ、担当は山崎さんに決定ね。今日の会議はこれで終了です。各自連絡事項を忘れないようにしてください」
生徒たちはガタガタと席を立ち教室から立ち去って行った。ゆらとあらたも地図研究部の部室に向かって歩き出した。
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