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「しっかし、お前デカいなぁ」
部室ではみずき、広海、しげが席に座り会話を楽しんでいた。
「初めて会った時もオレよりデカかったけど、更にでっかくなったな」
「そうですね」
「俺と同じくらいだし、180あるんじゃないか?」
「176です」
「もう少しだな」広海が優しい眼差しでしげを見た。
「羨ましいぞこのやろー」みずきがしげの頭をガシガシと撫でた。しげは照れくさいながらも嬉しそうに顔を綻ばせた。
「広海だってにょきにょき伸びたのに、オレだけほとんど変わんねぇ」
「何センチだっけ?」
「164! 四捨五入で165だ!」みずきは誇らしげに立ち上がった。
「四捨五入……」広海が微妙な半笑い顔で呟いた。
「何だと!? このもじゃ髪でかさ増ししてんだろーこのこの!」
「してないよ! 測定の時はちゃんと頭にすこんってなってるから」
頭に飛びつこうとしているみずきを広海は笑いながらなだめていた。そんな二人を見ていたしげが声を出して笑った。
「二人とも変わりませんね」
うん。おう!と広海とみずきが笑顔で返した。
「そう言えば、どうしてあらたを連れて来たんだ?」
「何だか、似ていて。僕が嫌っていた頃の・・・」
しげの言葉に広海とみずきの表情から明るさが消えた。その時、ゆらが部室のドアを開け入って来た。
「ただいまー」
「お!どうだった?」
「すみません。えっと、ゆらさん」
「なんもなんも!昇降口まで案内するついでに、部活の話を少しだけしておきました。興味持ってくれたら良いですけど」
「ありがとう、ゆら。大丈夫だよ。きっとうまくいく」
「何か考えがあるんですか?」しげが不思議そうに広海を見た。
「あれだな、広海」
「あれだ」にっと笑うみずきに広海も同じように笑ってみせた。
「作戦会議するぞ」
みずきの合図で部員みんなは椅子を近づけて話し始めた。その作戦に向けて。
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