(〇一)

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 そして、気がつけば綾部は奈良崎と共に、彼のベッドで朝を迎えていたのである。  綾部は一人、奈良崎の部屋を出たあと、猛烈な後悔と嫌悪感、そして後ろめたさと背徳感…それら全てがごちゃ混ぜになった感情に襲われた。 (俺は一体、何をしてしまったんだ?)  その後、綾部は何日か仕事が手につかないまま過ごしたあと、とにかく、奈良崎に謝らねばと思い、彼のマンションを訪れた。  しかし何度かは不在で、ようやく奈良崎と再会した時、綾部は謝罪をするはずが、導かれるままに、再び身体を重ねてしまった。  以来、二人はこうしている。  奈良崎の何が綾部を変えたのか、それは、綾部自身にもわからない。  奈良崎はホストでありながら、雌だけではなく、雄をも惹き付ける何かがあるようだ。  ただわかっているのは、このような関係は早く終わらせるべきだということだが、何故かそれもできないのだ。  これも、奈良崎が発する得体の知れない力なのだろうか。 「今度はいつ会える?」  と、奈良崎は俯せにのまま方向を変え、顔を綾部に向けた。 「さあな…」 「またこんなに空くと、寂しいよ」  奈良崎はそう言って身体を起こすと、綾部に抱きつき、彼の顔を見つめ、やがて二人は激しく唇を重ねるのだった。
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