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「……ヒロ」
抱きしめられて、ヒロの香りにクラクラしてしまう。
「んな、可愛いこと言うなよ」
「だって、ほんとのこ……んっ」
ヒロの唇であたしの言葉は遮ららる。
ほんの少しだけ触れた唇が熱い。
「俺、こんなんなのになんでお前は愛想つかさねーの?」
「尽かしてほしいの?」
「やだよ。俺はお前が好きなんだ」
浮気ばかりしてるくせに、自分がしていることが悪いことだって分かってる。
それなのにやめらない理由はなんなのだろう。
あたしに問題があるのかと問えば、あたしにはないというし。
でも、それを容認してしまってる自分も悪いってこと分かってる。
でも、あたしのところに最後に戻ってきてくれればとか思ってしまうのは、惚れた弱みというやつだろうか。
「だったら、愛想尽かされるようなことやめたらいいのに」
「……そうだな」
なんて、あたしたちが話しても、ヒロはきっと明日も同じだ。
「好きだから許しちゃうんだけどね」
「ん。ごめん」
悪いとは思いつつ、隠すこともしない。
これがあたし達のあり方とでもいうのだろうか。
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