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「も、もしもし!?」
ヒロの家の前で待つこと、30分。
寒くて、吐く息は白くなっている。
『あ、心結?もう家の前にいる?』
「うん、いるよ!ヒロどこにいるの?」
『ごめん、今日は帰ってくれないかな?』
「……え?」
信じで待っていたヒロの言葉はあたしの心を冷たくしていく。
『ごめん、埋め合わせするから』
「理由なく、そんなこと言われて帰れないよ……あたしとの約束以上に大切なことなんか……ヒロにはたくさんあるか」
いつだってそうだった。
この人、どうしてあたしのことを好きだなんて言ったんだろう。
どうして、あたしと付き合うことを選んだんだろう。
大切にできないなら、初めからそんなことしなければよかったのに。
『……心結』
「あたしなら、なんでもいいよって言うから付き合ってるの?」
『そんなこと……「今日だけは、一緒に過ごしたかった」
ヒロの反論なんか聞く必要なくて。
あたしの思いだけを告げる。
だって、あたしは今日の約束を守ってくれればそれでよかったんだから。
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