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『ごめん』
「ごめんって言うなら、ここに来てよ」
いままで、どんなことがあってもここまでごねたことはなかった。
でも、どうしても……。
『ごめん、とりあえず今は……『ヒロー?』
ヒロの言葉を遮るように聞こえてきた声。
それは、女の子の声だったわけで。
あたしとのクリスマスの約束より優先した女の子がいたってことで。
「なんだ……そういうこと」
『そういうんじゃねぇんだよ。おい、桜ちょっとあっち行ってろ』
「……っ」
桜って名前にあたしの心が抉られる。
この前悠貴から聞いていたヒロの元カノの名前。
『ごめん、とりあえずまた連絡するから……「あたしより元カノ優先するんだね」
ヒロの言葉なんてもう聞く必要はなかった。
『なんで、桜のこと……』
「ヒロ、別れよう」
ついに出てしまったこの言葉。
本当なら、出さないで済ませたかった言葉。
『は……?』
あたしの言葉に困惑のこもった声になる。
「ヒロ、元カノのこと大好きだったじゃん」
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