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「どうすりゃよかったんだよ……桜はここにいてくれって言うし……心結は好きなら来いって言うし」
「ほんと、不器用だな」
ヒロがぐちゃぐちゃな感情になっていることが、表情からも伝わってくる。
「わかんねぇんだよ……俺は心結の言う通り桜のことがすげぇ好きだった」
「うん」
「桜のことを忘れるために心結と付き合ったはずなのに、気づいたらすげぇすきになってた……」
心結を思って遠い目をする、ヒロ。
「ちょっと電話してくるわ」
心結が泣いている気がして。
俺は、病室から廊下に出る。
泣いているかもしれないと思ったら、いてもたってもいられなかった。
「大丈夫かな……」
これまでの話を聞く限り、心結はすっげぇヒロのことが好きだから。
悔しいけど、心結が好きなのは、ヒロだから。
俺にその気持ちを向けてくれたらいいのにって思うけど。
弱ってる心結に電話をかけるなんて、ずるいかもしれないけど。
それでも、俺は心結の少しでも支えになれたらと思う。
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