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「……誰だよ、そいつ」
「ずっと電話してた男の子」
ごめん。悠貴。
悠貴との出会いをちょっと借りるね。
「ずっと……?」
「うん。今年の6月くらいからかな?」
「……なんだよ、それ」
ヒロが唇を噛んで悔しそうな顔をしているのかわかる。
「だから、もうヒロのことすきじゃないよ」
「好きだって言ってただろ……」
「好きだったよ、ヒロのこと」
今だって大好きだ。
「じゃあ、なんでだよ……」
ヒロの目は、なんで他に好きな人なんて作ったんだと聞いている。
「ヒロ、あたしだけを見てくれなかったじゃない」
「……っ!俺は、いつだって心結のことを……っ「そんな素振りは見えなかったよ。だから、あたしはその人に惹かれていったの」
ヒロの言葉を遮って告げると、眉を下げてうなだれるヒロの姿。
「そいつと付き合うの?」
「その人もあたしのことを好きだと言ってくれてるから」
「そうかよ……」
ヒロの顔が見たこともないほど暗くなっていくのがわかる。
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