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「ヒロ、次はちゃんと大事にしなよ」
ポンっとヒロの肩を叩く。
「ねぇよ、次なんて」
「……ヒロ」
「いらねぇよ。お前以外の女なんか」
切なそうな顔をして、あたしの顔を見るヒロに胸がぎゅうっとなる。
「俺が悪いのは分かってる」
「……ヒロ」
「こんなことしてたら、こうなるのは当たり前なのに。ごめんな心結」
あたしの頭をポンっと叩くヒロはいつにも増して、あたしのことを愛しそうに見ている。
「今までありがとう。ヒロ」
「それは、こっちのセリフ。俺と付き合ってくれてありがとな」
きゅっとあたしの髪の毛を指に絡める。
「もう少しはやく、そういうの聞きたかったよ」
「はは、失って初めて気づいて。俺ほんとバカだな」
そう言って、顔を上げたヒロの目から一筋の涙が流れてた。
「え、ヒロ……」
ヒロの涙なんて、これまで見たことがなくて。
思わず彼のことを抱きしめた。
「あれ、なんで涙なんか……心結のこと好きすぎだろ、俺」
ははっと笑うヒロに胸の奥が苦しくてたまらなくなる。
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