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「ごめん、ヒロ」
「なんで、心結が謝んだよ。悪いのは俺だろ?」
「あたしがもっと頑張れればよかったから……」
本当はまだ好きなのに。
好きで好きでたまらないのに。
「お前、お人好しすぎんだろ。誰がどうみても俺が悪いよ」
ぐすっと鼻をすすって困ったような笑顔であたしの頭を撫でる。
「そんなに、好きでいてくれたなんて分からなかった」
「かっこわりーよな。振られて初めてやばいって思って、必死になって。もっと普段から心結のことだけを大事に扱ってればよかっただけなのに」
「カッコ悪くなんてないよ……」
ヒロのことがまだ好きだから。
ヒロがこうして、あたしのことを必死に求めてくれるのは正直嬉しかった。
涙を流してくれるほど好きだなんて、微塵も感じてなかったから。
でも、できればもう少しはやく、そういうことは感じたかった。
「心結のこと、本当に俺はすきだから、あきらめねぇからかな」
すくっとたちあがって、あたしに向かって指をさす。
「……え?」
「すげぇ好きなんだ。いつかは、また俺んとこに戻すだけだ」
そこまで諦めないで、本当にいてくれるかは、わからないけど。
それでも、切なく笑うヒロにあたしの心はずっと苦しかった。
まだまだ大好きだから。
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