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「なんも知らねぇだろ。郁人が言うならともかく、悠貴は心結のこと知らねぇだろ」
「……っ」
知らない、でも知ってる。
心結がどんだけヒロのことが好きだったか。
「俺だけが悪いわけじゃねぇもん……」
「は?」
この期に及んで何を言ってるのだと、怒りを含めたような声になってしまったかもしれない。
膨れつらをしているヒロのこと、殴りたくもなったけど我慢するしかなかった。
俺がここで怒るのはおかしいから。
「心結だって、他の男と電話してたし」
「……電話?」
それは、俺との電話のことだろうかとギクッとなる。
郁人も俺の顔をちらっと見る。
「俺と付き合って2ヶ月くらいの頃にはもう電話してたらしいよ。当時知ったら俺多分殴ってたな、そいつのこと」
そんな物騒なことを言い出すヒロに軽く身震いがする。
桜と付き合ってた頃から、ヒロの独占欲はすごいとは思ってたから、わかってたことだけど。
ヒロは、まさかその相手が俺だなんて思ってもいないだろうな。
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