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「お前、おかしいよ?自分が悪かったの棚にあげて」
許せなかった。
悔しかった。
俺だって心結のことが好きなのに。
なにもしてあげることなんてできなくて。
だから、こうして心結の肩を持ってあげることしか出来なかった。
「……っ、わかってんだよ」
ヒロがぼそっと呟く。
「え?」
「なんでもっと大切にできなかったんだろう、なんで心結のこと優先しなかったんだろう、悲しませてばかりいたなって……昨日からずっとそればかり考えてる」
ヒロの頬を伝う一筋の涙。
「……おまっ、涙」
「はは、またかよ」
涙を流しながら笑って、ベッドの脇にあるティッシュボックスに手を触れる。
「また?」
「さっき心結の前でも泣いた。俺、ダサ……」
ティッシュで涙を拭きながら、自嘲的的に笑う。
「大丈夫。伝わってるよ」
「だといいよな」
泣いてるヒロを見て、俺にだって真剣な気持ちは伝わってきたんだ。
心結にだって伝わってないわけはない。
人の気持ちを分かってあげられるような子だから。
別にヒロと心結がまた付き合えればいいだなんて思わない。
次は俺が。
そう思うくらい、バチは当たらないよな。
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