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「なに、あいつ……ほんと今更」
呆れたようにかすみがため息をつく。
「はは、ほんとだね」
なんて言いつつも、ドキドキが止まるわけがなくて。
別れを告げたのは、あたしで。
まだヒロを好きなのもあたしで。
でも、自分を守りたい。
もう、傷つきたくなんてないから。
「あ、ヒロくーん!」
ヒロを自分の彼氏かのように、彼の腕に自分の腕を絡めようとする。
いつもの光景だった。
「まーた寄ってきた。どうせ変わらな……「ごめん、もう俺に触れないでもらえるかな?」
かすみの呆れたような声に混じって、ヒロのそんな声が聞こえてきて、あたしもかすみも顔を見合わせる。
「え?ヒロくん?」
「俺、いま片想い中だから。余計なことで乱したくないんだ。じゃあね」
ヒラヒラと彼女に向かって手を振る。
「本気みたいだね、あいつ」
「……うん」
「心結、どうすんの?」
「どうもしない」
きっといまはあたしがいなくなって、寂しいから。
また元に戻ったら同じことの繰り返し。
だから、もう惑わされない。
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