好み

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『今更なんだけど、LINE交換しようか』 毎日の日課の悠貴との電話中。 そんなことを言われたのは、冬休み真っ只中の大晦日の夜。 「ほんと、今更だよね。もちろん、交換しよう」 『なんかタイミング掴めなくてさ。LINEであけおめ送ろうかなーって思ったけど、心結の知らないじゃんって』 「はは、ID言うからメモってくれる?」 『おう』 その言葉のあとに、なにやら書くものを探しているようでガサガサと音が聞こえる。 『いいよ』 パチンと音がして、悠貴の声が続いた。 「あー、ID……」 IDを言おうとして、ハッと気づく。 ヒロと付き合いだしたときにIDを変えていて、いまとっても恥ずかしいものになっている。 『ん?早く言えよ』 「うん、んー……」 悠貴からIDを教えてくれないかな、なんて思うけど 『なにもったいぶってんだよ』 自分からIDを伝えると言ってしまった手前、覆すことができない。 これからは、絶対に付き合った相手のことをIDに入れないと固く心に誓った瞬間。
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