好み

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あの頃は、ヒロもあたしだけを見ていてくれて。 LINEのIDをお互いの名前と誕生日にするなんていう、バカップルぶりを発揮していた。 「hiromiyu0225」 『……もったいぶってた理由わかった』 「うー……」 なんとも恥ずかしい。 いままで誰かに教えるときは、QRコードで教えていたし、こんな恥ずかしい思いをしたことがなかった。 あの時のあたしは、絶対に離れることなんてないって思ってたから。 やっぱりまだ、自分から手を離したくせに思い出しただけで胸は痛くなる。 『今追加すんねー』 「はーい」 スマホを操作しているのだろう。 そして「おお」という声が聞こえる。 「どうかした?」 『アイコン』 「あぁ……」 すぐ変えればいいものの、なんだか変えれなくて、別れてから一週間経った今もヒロとのツーショットのままだ。 ヒロは、あれからもちょくちょくLINEをくれるけど、このアイコンをみてどう思っているんだろう。 『ヒロに好きな人出来たって言ったんだろ?』 「あぁ、うん……ってそのこと悠貴に言ったっけ?」
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