出会いの1日

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広がる空は、水に青い絵の具を溶かしたような透き通った青色。タンポポはラッパの音みたいに弾けるような黄色。僕が今見ている世界には、すべてのものに色がある。 そう、街を歩く人々にも……。 僕は人と違う目を持っている。 物心ついた時から人の色が見えた。アニメとかでよく見るオーラみたいな感じだ。テレビや写真では見えない。だけど、僕が実際に見たほとんどの人は、それを纏っていた。 僕はそれを、その人の性格や心情、生命力を表していると考えている。ドラマでしか見たことのないような熱い体育教師は燃えるような赤色だったし、僕がよく行く図書館の司書の、落ち着いた感じのお姉さんはチョコレートブラウンだった。そして、僕が幼い頃に死んだおばあちゃんは、明るくて元気なオレンジ色を持っていたのに、病気をしてからは弱々しい薄縹色になってしまった。 それは、一つとして同じものはなかった。似ている色はよく見るけど、必ず、どこかが微妙に違うのだ。今まで何色見てきたかは、もうわからない。軽く一千は超えているだろう。小さい時は色の名前なんて全然知らなかったけど、高校生となった今は、頭の中に分厚い辞典が出来上がってしまっている。気になった色はすぐにネットで調べていたからだ。
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