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幼稚園児の時、初めてできた友達に人の色が見えることを話した。ちょっとした自慢のつもりだった。
僕は、僕が見ているものが、他の人には見えないものだとわかっていた。母や父に話した時、困った顔をされたからだ。
でも、それは母や父がオトナだからだと思っていた。同じコドモの友達なら、わかってくれると思っていた。
その子は僕のことを「やよいくんって変なの。」と言った。僕はこの目が特別なのではなく、変なのだということをその時知った。
幼稚園で孤立した僕は、これからは、このことを隠して生きていこうと心に決めた。
僕はなるべく目立たないよう心がけてきた。目立たないと言っても、前髪で目を隠したり、無口を貫いたりはしない。そうすることで、逆に目立ってしまうことを、知っているからだ。
休み時間はいつも友達と喋っているし、髪の毛は清潔な印象になるよう、軽く梳かしている。女子とだって話す。身長は高いし、自分で言うのもなんだが、顔も悪くない。それなりにモテているはずだ。いや、モテていたら嬉しい。
そんな調子で、僕の高校生活は、平凡なまま通り過ぎようとしていた。
あの子に逢うまでは…。
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