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薄いブルーのカーテンから、柔らかな光が差し込んでくる。まだ朦朧としている頭に、目覚まし時計のけたたましい音が喝を入れる。
いつものように紺色のブレザーを着て、目玉焼きがのったトーストをかじる。身支度を整えて、余裕を持って家を出た。
僕は徒歩で学校に行く。そこまで遠くもないし、近くもない。友達はみんな自転車で通学しているが、僕は色を見ながら、ゆったりと歩くのが好きなのだ。
教室のドアを引くと、いつも通りのザワザワとした賑やかな光景が目に入る。ベランダに近い、一番後ろの席に着くと、前の席で、スマホをいじっていた男子が振り向いた。
「 おはようー!元気か?」洸は溌剌とした声で言った。なんだか変なテンションだな、と不思議に思った。それに、いつもは若草色なのに、今日はライムグリーンだ。正直、その色眩しいからやめてほしい。
「お前はいつもより元気そうだな。何かあったのか?」
「あぁ、今日転校生来るんだってよ。結構可愛いらしいぜ。」
声色からは期待がにじみ出ている。あぁなるほど、読めた。洸はその転校生を狙ってるんだな。
洸はサッカー部でサラサラの黒髪、高身長、イケメンの、ザ・モテる奴って感じだ。そしてチャラい。
何度も彼女を取っ替え引っ替えしているが、今は奇跡的にフリーなのだ。
「お前、いい加減にしておかないと、痛い目見るぞ。」
一応親友として忠告しておく。僕にまで火花が飛んだらたまったもんじゃない。
「わぁーったよ。気をつける。」
絶対そんな気ないだろ、と心の中で苦笑する。まあ、そんな僕もその可愛いと噂の転校生、少し気になっていたのだが。
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