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「皆さん、おはようございます!」
担任の三谷先生のキレのあるハッキリとした声が教室に響いた。途端にピタリとざわめきがおさまる。
妙に張り詰めた緊張感が漂っているのは、やっぱり転校生のせいだろうか。
「立花さん。どうぞ。」少しだけ柔らかくなった声で、先生が言った。
下を向いて、 緊張ぎみに入ってきた少女は、すぐに僕らに背を向けて、カッカッと心地良い音を奏でながら、黒板に名前を書き始めた。
そして、こちらに向き直り、顔を上げて、
「立花小春です。よろしくお願いします!」と鈴の音のような可愛らしい声で言った。
その瞬間、ワーッという歓声と、耳が壊れんばかりの拍手が教室をいっぱいに満たした。
彼女は噂どおり、いや、それ以上の美しさだった。柔らかそうな、フワフワのセピア色の髪を、肩につくあたりで切り揃え、華のある大きな目は、星空のようにキラキラと潤んでいる。そして、信じられないほど真っ白な肌をしていた。クラスのみんなは、彼女のその完璧な容姿に強く惹きつけられているのだろう。
だけど僕は違った。彼女の虜になってしまっているのは一緒だが、僕は彼女の色に、最も強く惹かれていた。
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