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「お母さーん。早くー。」
「走っちゃダメよー。」
小さな男の子と優しそうなお母さんの微笑ましいやりとりを何気なく聞いていた。
僕は今長野に来ている。東京から北陸新幹線で2時間、静寂の車内はとても退屈だった。何が悲しくて男子高校生が1人で長野までやってくるのだろうか。まぁ、あの有名なシュウマイ弁当を車内で食べられたのは嬉しかったが…。
因みにあんずはいつ食べればいいのか、永遠の疑問である。あれはおかずなのか、デザートと考えるか、1人自問自答を繰り返した。それぐらい暇を持て余していた。
…そんなくだらないことを考えている場合じゃなかったな。気がつくと、あの親子は見えなくなっていた。今日はしっかりとした用があって来たのだ。早く向かわなければ。
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