最後の1日

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「もしもし、弥生くん?」 電話越しに、フルートのような可愛らしく澄んだ声が耳に入る。 「そうだよ。どうしたの?」 小春は中々応えない。どうしたんだろうか。 「今、懐古園だよね。石垣からの桜はもう見た?」 やっとそう言った小春の声はなんというか、儚くて弱々しく感じた。 「石垣?まだ行ってないな。これから行ってみるよ。」 様子がおかしい小春を元気付けようと、なるべく明るい声で言った。 「電話、繋いだままでもいい?」 「勿論。丁度一人ぼっちにも嫌気がさして来たところなんだ。」 そう言って僕は彼女と他愛もない会話を交わしながら石垣へと向かった。
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