令嬢の肖像画

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 驚きました。何と、完成作を見に来られた令嬢が、細くなり、くっきりとしたくまが目の下にできていたのです。だけども、今度も、同様に気に入ってはもらえませんでした。もっと恐怖心をあおる鬼気迫るものが欲しいと。ただ、空想で描いたに過ぎない肖像がこれほどまでに似ているというのに、驚きもせず平然としているのには正直腹立たしくありました。ホント、ブチ切れそうになりました。でも、ここはこらえ、また一週間後にという約束にしました。  しかし、冷静になった途端、まさかとは思うのですが、私の描く絵に人の運命を変える力があるのではと考える様になったのです。ふと、恐ろしい考えが浮かんでしまいました。顔中を包帯でぐるぐる巻に覆うてはどうかという考えです。私は、空想でそう描き、その約束の期日が到来しました。
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