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くたくたになった野菜と肉のかけらも余すことなく、全部食べきってしまいたい。
からの椀にひと玉のうどんをよそう。その時だった。
池田が窓を見て「あ」と短い声を上げた。
同時に窓が陰る。俺も顔を上げて「あ」と特に感情のこもってない音を出した。
生徒指導の竹下教諭が眉を寄せて俺たちを見ていた。
「……どうする、池田」
「そうだな……まさか本当に見つかるとは思わなかった」
池田は苦笑した。顔は引きつっている。
竹下は野球部の顧問だ。大方、練習前に部室棟に寄って俺たちを見つけたところだろう。
この状況に池田はすぐさま「よし、俺にいい考えがある」と苦笑を悪巧みの笑みにすり替えた。
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