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「でもまあ、俺の分があったということで今回は目をつぶろう」
別に竹下のためにシメのうどんを残したわけじゃないが、お咎めなしなら安いものだ。
「とりあえず、鍋は洗って家庭科室に返してきなさい」
「はーい」
俺たちは大人しく鍋の片付けを始めた。竹下は「よいしょ」と立ち上がる。
「あ、そうだ。家庭科室で誰かに見つかったら、竹下の名前出していいよ」
鍋を持って部室を出る間際、竹下が言う。
「え、いいんですか?」
白々しい俺と池田。すると、竹下は苦々しく「あぁ」と言って寒さに耐えるように肩をすくめる。
「連帯責任だからな」
ハイタッチをしたい気持ちを抑えて、俺と池田は竹下の背中を見送った。
多分、竹下はわざと俺たちに乗っかってくれたんだろう。そんな気がした。
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