第1回なべろうの会

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 卒業間際。入試前。やらかしたら大事だ。しかし、連日の勉強漬けな毎日にストレスは感じている。暇はないけれど退屈なんだ。  それは池田も同じことで、ニヤニヤと企みの顔を浮かべている。 「なぁ、斉藤。腹へらねぇ?」  おもむろに脈絡なく言う。俺は天井を見上げて、「まぁ、昼時だしな」と返した。 「売店行くか? 食堂は開いてないだろ」  訊くと、池田はキザったらしく人差し指を振る。超絶似合わない仕草だ。 「いいや。俺はあったかいもんが食べたい。寒いし」 「あー……まぁ、そうだな」 「というわけで、部室で鍋パーしようぜ」 「鍋パー……」  そういうことか。  部室で鍋をやろうなんて、とんでもなく馬鹿げたことを思いつく。でも、絶対に面白い。  ***  校舎の外に部室棟がある。その奥地に、ほぼ物置と化しているのが我が図書部室。しかし、活動はほとんど図書室で行っているためになかなか入ることがない。試験期間とか司書さんがいない時に使えばいいんだが、その場合は部活自体を休みにするので、とにかく意味がない部室である。  まさか、卒業間際に初めてここを使うことになろうとは思わなかった。 「――さて、図書部第1回なべろうの会をはじめます」  池田が厳かに言う。 「なんだよ、第1回なべろうの会って」     
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