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「どうも、『オッサンのススメ』です! よろしくお願いします~」
舞台裏というのは、全くどうしてか暗闇ではありまして、そのくせ、表舞台というのは、物理的にも心理的にも眩しいものでございます。私を焼き尽くすんではないかといわんばかりに煌々と光を放つスポットライト。加えて、お客様の熱く眩しい視線が、私の心とからだを焦がしていくのでございます。
けれども、平気な顔してこの表舞台に立っておられるのは、隣にいる懐深く眩いお方である、諭吉殿のお陰でありましょう。
「我々、『オッサンのススメ』ということでやらせて頂いてますけども」
いつも通りの枕の言葉を諭吉殿が紡ぎ、それに合わせて私の落ち着きのない心の臓もリズムを緩めていきます。
「実は我々、ただのオッサンたちではないんですよ」
本日のお客は温かな客で、え~と歓声が上がります。「そんな仰々しくえ~と言われると、ハードルが上がって頭を打ちそうですけども」なんて諭吉殿のアドリブが入りまして、私はすかさず「くぐっとるやないですか! 飛び越えて見せましょうよ!」と突っ込みを入れます。小粋にアハハと観客は笑い、よしよしと私と諭吉殿は目を合わせて微笑みます。
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