空から落ちるモノ。

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次の日テレビをつけていたら、3日前に隣町に落ちたというUFOのニュースが流れていた。隣町の山に落ちたUFOは大きく空いたクレータの中でボロボロに壊れていたらしい、国家宇宙生命体調査員が調べた所、宇宙船の中は空っぽで乗組員はいなかったとのこと。  その為、怪我をしている宇宙人を見つけらたご連絡下さいと、宇宙調査機関の電話番号とメールアドレスが乗せられていた。僕はそれを一応スマホで撮っておき、大学へと向かった。  大学では宇宙人の噂で持ちきりだった、怖いエイリアンだったらどうしよう、という話声が通りすがりの女子の集団から聞こえてくる。 一時間目に講義を受ける教室に入ると、僕の勝手に指定席にしている場所の隣に、丸い眼鏡を掛けたおかっぱ頭の青年が座っていた。  彼は講義がかなり被っていた為仲良くなった友達の[籠宮くん]だ。僕はかごちゃんと呼ばせて貰っている。 かごちゃんに「おはよう」と話しかけて隣に座り教科書を出せば、彼は小さな声で「君は今朝のニュースを見ましたかな?」と聞いて来た。 僕はそれに頷いて「もちろん見たよ。宇宙人は何処に行ったんだろうね。」模範的な回答を述べた。 「元々宇宙船に乗っていなかったという説も、ある様ですぞ。」 「へえ、それ又なんで?」 「どうやら、宇宙船のポット内に生体反応が無かったようで、あの宇宙船は調査船で何処かの星から、遠隔操作で動かしていたのでは無いかと。」 「その節はあり得るね。ただこの星を調べるだけなら、乗ってくる必要は無さそう。うっかり見つかって侵略をしに来たと思われたら可哀想だし。」 「我々は妄想逞しい種族ゆえ、仕方がありませんな。」  宇宙人イコール侵略者という、イメージは昔からあまり変わることが無い。 「なんでだろうね。」 かごちゃんは眼鏡を押し上げて言った。 「皆、得体のしれないものは恐ろしい、それなら敵にしてしまえということでしょう。」  世の中はなんて理不尽。
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