第三章

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タケシの思考能力は麻痺していた。 ただひたすら、行方不明の兄が従事していた軍需工場を目指して歩く。 不思議な恐ろしい爆弾にやられ、街は壊滅状態で、大勢が死んだらしいーー 情報はそれだけだ。 だから、だんだんと街が近づいて来た時 自分の想像を遥かに超えた現実を目の当たりにして、何も考えられなくなっていた。 何じゃこれは、何じゃこれは…!! 心の中で何度叫んだだろうか。 よく見知った街が まるで異世界になっている。 賑やかだった街の面影は消え、辺り一面 真っ黒な焼け野原。 爆弾が落ちて三日も経っているのに、まだチラチラと火が燻っている場所や、煙が上がっている場所もある。 これまで嗅いだことのない臭いが、常に鼻をつく。 ーー見るも無残な遺体が、あちらこちらに転がっている。
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