第三章

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タケシはギュッと目を瞑る。 本川町の中田 敏子と名乗っていた。 兄の遺骨を家に連れ帰ったら、すぐに女の身内を探そうか。 壊滅状態のこの街で、そう易々と見つかる筈はないだろうが せめて… しかし 奇跡的に出会えたとして何と言えばいい? あれほど欲しがっていた、たった一口の水も与えず、彼女を見殺しにしたと? 空に還っていく兄の煙を追いながら、口の中で念仏の代わりに「すまんかった」と幾度も呟く。 タケシの懺悔は、決して消えることなく焼けた地に染み込んでいった。
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