Chapter 4

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「意味わかんねえ。じゃあ、人間が一方的に侵略したって訳じゃねぇのかよ? 穏和だけど野生化する可能性のあるラクサーシャの増加を恐れて、ラクサーシャを居住区に──」 言いかけて、はっと言葉を呑む。 野生化する可能性があるから、という理由だけで居住区に閉じ込めている訳ではない……ラクサーシャによる政権奪還を恐れての措置なのか? 「……でも、俺はおまえの言う事を鵜呑みにもできねぇぞ」 「ああ、それは別にいいんだ。俺だって半分おとぎ話みたいなもんだって思ってたから」 くるりと体の向きを変え、マリウスと向き合った。そのイリヤの表情は至極真剣で、からかったり嘘をついている様子など微塵もなかった。 「で、バシャル・ナシュワだ」 「あ、ああ……」 いつもの、単純で短絡的な思考のイリヤは身を潜めていた。もともと好奇心旺盛で探求心も強いところはあった。見ていて危なっかしく思えるほど。 「奴らは、人間こそが地上を統治するのに相応しいって思ってる。いわゆる人間至上主義ってヤツだ。70年前にここを侵略したのもバシャル・ナシュワのメンバーだったと言われている」 「……てことは、ラクサーシャを居住区に閉じ込めた本当の理由ってのは」 「政権奪還の阻止、それと、人間をこの地から追いやった事への報復」 突如低く響いた声に、イリヤとマリウスは瞠目し、同時にドアへと目を向けた。 いつからそこにいたのか──ジークヴァルト・フェルザー中隊長が、腕を組んでドアに寄りかかっていた。鋭い眼光がまっすぐにイリヤを射抜く。
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