Chapter 4

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もう何も躊躇(ためら)う事はない。目標に向かって突き進むだけだ。 「腹を決めるか」 テーブルの上で組んだ拳をじっと見据えながら、イザークが呟いた。 「やっとやる気になったか、イザークよ」 「俺だって、馬鹿にされたとあっちゃ怒るさ」 背後のソファで、ロジェとカールが息を呑む気配がした。アーロンがゆらりと立ち上がった。 「やってやろう……俺たちは充分耐えた。次は人間どもが屈辱に耐える番だ」 僅かに上体を捻ってアーロンを見上げると、「おまえの覚悟は本物だろうな」とアーロンの目が問うていた。 「俺はこれからすべての居住区に“女神”を連れていく。しっかりと時間をかけて話をするから、早くても3週間……4週間かかるかもしれない。その間に、充分に実戦訓練をしておいてくれ」 「ああ」 「第2居住区(こっち)の事は任せろ」 運命が動き出す── 女神アトロポスは、果たしてどちらの運命の糸を切るだろう。
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