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「確かに、俺たちは油断してた」
エルヴェは膝立ちし、必死の形相でアーロンに訴えかけた。
「けど、ヤツとやりあって解った事もある……お願いだ、次また失敗したら、俺たちを“聖獣”にしてもらって構わねえ。もう一度だけチャンスをくれ!」
憐れな豹族の兄弟を、アーロンは静かな眼差しで見おろしていた。
身体能力に長けた“戦闘員”なら他にもいる。だが、次々と新たな戦闘員を送り込むのは得策とは言えない。
「……あと二人」
「え……?」
「カイとイスモを同行させろ。いいな、次はもうないぞ」
エルヴェたちに凄んでみせながらも、アーロンは内心焦りを感じていた。
居住区外にラクサーシャがいる原因を探る為に軍が動き出すより先に、先手を打たなければならない。
“クロギツネ”が早く現れてくれるといいのだが。
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