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ドアを開けてフェルザーと新兵3人を先に通し、全員が入室したのを確認してからドアを閉め、フェルザーの隣に並ぶ。
5人同時に敬礼した。
「どうにも、嫌な事態だね……」
デ・フレーセ隊長は50がらみの太った男で、敬礼を解くよう片手で指示しながらゆっくりと立ち上がった。その動きに合わせて、胸に飾られたいくつもの勲章が、光の加減できらりと光る。
正面の壁にはアーシラルド国旗と軍旗が交差して掲げられ、南側の窓から射し込む光で絶妙な陰影を伴い鎮座していた。
大きな執務机をゆっくりとした足取りで回り込み、部屋の中央に据えられた10人がけのテーブルを指し示す。フェルザーとターニャが互いに一瞬視線を合わせ、執務机に近い方の椅子に向かい合って座った。
「ほら、君たちもかけなさい」
上座についたデ・フレーセ隊長が穏やかな口調で促す。イリヤたちは困惑した表情で顔を見合わせたが、いつまでもぐずぐずしている方が失礼だと、一礼してからテーブルについた。
「ついさっき、憲兵隊のヘイデン駐屯地からイゾラ大尉が戻ってきてね」
デ・フレーセは持っていた書簡をテーブルに広げると、胸ポケットから片眼鏡を取り出し、右の眼窩に嵌め込んだ。
「仕留めたヘルハウンドのうち3頭についての報告書だ」
ごくり、とイリヤが唾を呑み込む音がしんとした室内に響いた。
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