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「信じらんなーい!」  カウンセリング・ルームに飛び込んでくるなり、彼女は叫んだ。  月曜日。午前中の相談者が出て行くのを待ち受けていたかのように入ってきて、彼女はドスッとソファに腰を下ろした。荒々しい鼻息をつきながら脚を組む。  ちょうどわたしは一息つこうかとコーヒーメーカーをセットしたところで、そこに立ったまましげしげと彼女を観察した。さらりと長い髪をうるさげに後ろに払い、爪を噛もうとしてネイルに気付き、悔しげに腕組みをする。全身から頑なな怒りのオーラがにじみ出ていた。 「……コーヒー飲む?」 「飲む」  彼女は腕を組んだままむっつりと頷いた。出来上がったコーヒーをマグカップに注いでテーブルに置くと、彼女は視線を泳がせぎみに「ありがと」と呟いた。  向かいに座ってわたしもコーヒーを飲む。入り口で足音がして顔を上げると、半透明のガラス越しに人影が見えた。ノックはせずに立ち去ったところから、彼女は入ってくるときにきちんと札をひっくり返して『面談中』にしておいたとみえる。腹を立てていても、それくらいの気遣いができる余裕はあったのね。  彼女が落ち着いた頃合いを見計らって尋ねてみた。     
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