私は兄の幸せを祝福することができない

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 「はぁ~」  「おいおい、どうしたんだよ。溜め息なんてついて」    休み時間、机に向かって溜め息をついていると、一番の友達の伊藤麗奈が私を心配して声をかけに来てくれた。  「あのね」  「わかった。また紫帆さんのことだろ? 葵ったらいっつもそれで悩んでるし」  さすがは一番の友達。なんでもわかってらっしゃる。  「で? 今度はどうしたの? 言ってみ~」  「紫帆さんと兄貴がいってらっしゃいのキスし……」  「またその話? もう10回は聞いてるんですけど」  そりゃあ何回も言いたくも言いたくもなりますよ。私には絶対敵わないって見せつけられてるみたいなんだもの。  「じゃあ私が葵にキスしてあげようか?」  「いやいや、私たち友達同士だし、それに女の子同士だよ?」  「そ、そうだよね。冗談に決まってんじゃん! あははー」  一瞬、麗奈が悲しそうな顔してたような。」あ、友達って言われたから怒ったのかな。  「ごめんごめん。私と麗奈は友達じゃなくて親友だよ!」  「え、何言ってるの? 友達でも親友でもどっちでもいいし~。てか葵と紫帆さんだって女の子同士じゃん」  「あ、そうでした。女の子同士も全然ありでーす」  「全く調子いいんだからもう!」  この時の麗奈の笑顔は、作り笑いな気がした。
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