私は兄の幸せを祝福することができない

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 「ただいま~」   紫帆さんと一緒に夜ご飯を作っていると、兄が仕事から帰ってきた。  「お~今日はカレーか! なんだ葵も一緒に作ってるのか、大丈夫か?」  「大丈夫ってなにが?」  「そりゃ味だよ味!」  なんだと、こいつ~。  「大丈夫だって。葵ちゃん最近料理一緒に作ってくれてるから上達してるよ~。将来はいいお嫁さんになれるよ」  「ならいいけどよー」  「よし! できた!」  3人分のカレーとサラダをテーブルに並べる。  お、おいしい。やっぱり紫帆さんのカレーは絶品だ。  「ごちそうさま」  「葵ちゃん、いつも食べるの早いね」  私は食べ終わった皿を片付ける。  「おい、よく噛んで食べねぇとまた太るぞ」  こいつはまた。この皿、お前に投げつけるぞ。  「余計なお世話だっつーの! 紫帆さん、おやすみ」  別に元から食べるのが早いわけではない。  少しでも紫帆さんに2人の時間を作ってあげようと、邪魔者はさっさと退散してるのである。  本当は、もう少し、紫帆さんと話していたいのに――
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