私は兄の幸せを祝福することができない

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 「葵ちゃん、最近元気ないみたいだけど、大丈夫?」  「大丈夫だよ」  私は紫帆さんに心配させないようになるべく元気に返事をした。  「全然大丈夫じゃないよ。私でよかったら話してよ」  私が元気のないときに、必ずそれに気づいてくれるところが昔から好きだった。  紫帆さんは昔から優しい。優しすぎるよ。  だから、余計につらい。  「ううん。本当に大丈夫! 元気だよ!」  「そう、わかったわ。なにかあったら話してね。私は葵ちゃんのお義姉ちゃんなんだから」  「うん。いつもありがとね、紫帆さん」  私が紫帆さんにこの思いを告げることはない。  けど、好きで居続けることはきっと変わらない。  紫帆さんを好きで居続けるのはきっとつらいだろう。  それでも紫帆さんを好きでい続けることは、とても幸せでもあるんだ。 
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