それぞれの想い。

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それぞれの想い。

 眼を開けると白い天井がめいっぱいに入った。ここは病院、自分は病院で眠り今起きたと認識した。  どうして病院に、と思ったと同時に自分は誰なのだ、とすぐに思った。  名前だけではなく自分はどう生きていたのか、家族は誰なのかなにもかもを忘れていた。  近くにいた自分の親族らしき老父ともう一人若い男性がいて、自分は誰なのか、あなたたちは誰なのか、そう聞いた。  それを聞いて2人は記憶喪失と判明した俺が第一に言われたのは、「お前のせいで」だった。 「お前のせいで薫は、灯吏は……死ぬことなんてなかった!」憤る老父の顔。 「しかもなんでお前あいつらのこと忘れてん……なんで、こんな酷くて冷たいやつが本当にあの2人の子どもか…?」関西弁訛りのある、若そうな男性は呆然と呟いた。  2人は嘆きと怒りの混じった冷たい目で俺を見てた。  昨日何を食べたのかも何もかも忘れてしまった、名前すらも分からない俺は、自身の名前を知る前に責められた。  彼ら自身から俺は誰なのか、『薫(かおる)』『灯吏(とうり)』は何が理由で俺が原因で亡くなってしまったのかはこちらから聞くことは出来なかった。     
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