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……退院なさりましたら、あなたは健(たける)様……お爺様の元へ引き取りとのことになりました。」
すべて俺がまとめて聞いたことを、九十九さんも同じようにまとめて返答してくれた。
変に隠されるよりも清々しく言ってくれた方がいい、自分の名前とか今度の自分のことよりも何故彼らが俺に対してあの態度だったのかの理由がわかって呆然とした。
ああ、そうだよな。
こんな理由なら俺へのあの態度は間違っていないだろう。
なんてことをしてしまったんだろう、と記憶のない自分を悔いた。
その日九十九さんはなにも言わずに病室を出て、俺は少し泣いた、必要とされない俺よりも2人が生きてくれていた方が、良かったのに。
どうして2人は俺を庇ったんだろう……。
俺が、死んでいたらよかったのに。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
何度も顔も声も何もかもを思い出せもしない両親に謝罪した。
どうしても思い出せない。
何度か祖父と男性に思い出させようアルバムを持ってこられたが、見ようとすれば頭痛が酷くそれどころではなくなってしまう。
頭を抑え、痛みにあえぎ吐き気まで催してきた俺にお構いなしに思い出させようと荒く言葉を攻め立ててくる2人にさすがに九十九さんが待ったをかけ、医師からも注意された。
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