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 ベッドを背もたれにして座る和典の隣に腰を下ろす。今日は一緒に録画しておいたブンデスリーガの試合を観る。床に投げ出された和典の左手に指先が触れて、その冷たさに驚いた。 「和典の手、つめて!」 「そう?」  もう一度、和典の指先をぎゅっと雑に握る。 「もうすぐ夏なのに、冷たいよ」 「自転車に乗ってたからかな」  確かめるように、今度は和典が陸の手を握ってきた。握手のように、ぐいぐいと強く握ってすぐに離れる。 「お前の手は汗ばんでる」 「うるさいな」  そりゃあ、緊張しているもの。  仲の良い幼馴染同士は、手を握り合ったりするだろうか? ただ単に、他人の手の温度を確かめたくなっただけだろうか? まだ、ときどき足を引きずって歩く陸のことをいたわってくれているのだろうか? それとも――。  考えても仕方のない、どうしようもない疑問がぐるぐると頭の中を駆け巡る。  触れ合った指先から陸の気持ちが伝わって、そして和典にも恋が感染しないだろうか。           陸の中で生まれた恋の種が、今にも芽吹きそうに張り詰めている。
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