音楽室ののろいちゃん

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 翌日も放課後に掲示物の作成をすることになっていた。六時間目の授業が終わると生徒たちは一斉に机を教室の後ろに運び始めた。早坂も監督者として教室に残らねばならなかったので、教卓に座り小テストの添削し始めた。  そこへ学級委員の武田と坂本がやってきた。何事かと訊ねると、模造紙をもう一枚使っても良いかということだった。 「まあ掲示スペースにはまだ余裕があるから良いと思うけど、どうしてだ?」  早坂が聞くと、彼らは話し合いの結果だと応えた。  遅々として進まない作業を何とかするにはどうすればいいか、彼らは休み時間にクラスの皆で意見を出し合ったという。方針さえしっかりと決めてしまえば進むだろうと考えたのだ。すると提出された二十以上の意見が全て一致し、五分足らずで話し合い完結された。  男子と女子、それぞれ別で作成するべきというのが彼らの結論だった。 「お互いに譲れないモンがあるんだよ。だから無理して意見を合体させないほうが良いと思うんだよね。そうすれば言い争いも起きないから」  と、武田。 「かえって面白くなるとも思うんです。ほら、同じ道のりでも男子と女子でこんなに見方が違うんだって比較が出来るようになるじゃないですか。そんなこと他のクラスではやってないだろうし」  と、坂本。  早坂は一考した。そもそも今回の出し物は出来の良し悪しを競うのでなく、皆で一つの目標を目指すことで協調性を育むことを目的としている。自主的に話し合いの場を設けて方針を決めたというなら充分に目的を満たしている。若干言いくるめられているような気もするが理屈も通っている。二十人以上の意見が揃うなんてことがあるのかとも思ったが、もしそうならここで駄目だと言ってしまえば反感を買うのは必至だろう。  早坂は言われたとおりに模造紙を用意した。
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